第14号2000/12/01


フィンドホーンで暮らしてみれば―part2(山名 せつこ)


イギリスの共同体、フィンドホーンに滞在していた山名さんがそこでの暮らしぶりをレポートしてくれています。体調を崩した山名さんが、フィンドホンでつくられるフラワーエッセンスをためしてみようと思い立ち、マリオン・リーのオフィスをたずねます。マリオンこそフィンドホーンのフラワーエッセンスをつくりはじめた人なのです。(編集長)。

  問い合わせも予約もなしに、私はマリオンのオフィスのドアを叩いた。マリオンと会うことが必然ならば、アポイントメントがあってもなくても同じだろうと運命論的に考えていた。宇宙全体に必要なことならば私とマリオンは会う。会えないならば、それは会う必要はないってことだ。いつの間にか身に付いていた、そんな私の考え方は、フィンドホーンに来てより強い確信を得ていた。なんせフィンドホーンはスピリチュアルな場所だ。人々は当たり前のように、宇宙や神の都合まで相手にして生きている。応対してくれたのは太めのヒゲの男性だった。マネジャー氏かと思っていたが、後にマリオンのパートナーだと聞いた。
  “今日のマリオンの予定はすべてうまっているからダメだ。後日、予約を入れてから出直しておいで”と断られた。あっそうですか。会えないのなら仕方ない。私はあっさり引いた。フラワーエッセンスにはご縁がないってことね。じゃ次なる手だてはどうするか考えねば、と帰りかかったところで突然、奥から女性の声がした。
  “4時15分からでよかったら、セッション(診察)ができるけど、、”フラワーエッセンスを創っているマリオン・リー本人だった。

  マリオンのオフィス『The wellspring』は、フィンドホーン共同体の創設者アイリーン・キャディがその昔、瞑想のために毎日こもったという公衆トイレを改築した由緒ある建物だ。一歩中にはいると、その小じんまりさと家内制手工業っぽい雰囲気に、ここであの有名なフラワーエッセンスが作られてるのーーー!?と驚く。実際、家内制手工業のようなものかもしれない。iマックが何台もあったし、エッセンスの入った封筒の宛先は国際的であったけれど、私の頭の中には「村の鍛冶屋」の歌が鳴っていた。

  木の扉で仕切られた奥の1畳半くらいの小部屋がマリオンの診察室だった。まずはカウンセリング。「どこが悪いの?いつから?」とフツーの医者のような質問が続く。マリオンはホメオパシー(同種療法)のお医者さんでもある。私は用意していたメモを片手に、この1ヶ月の様子を説明した。耳鳴りがひどく、微熱と4ヶ月前にやった大腸炎と同じ場所の痛みが続くこと、倦怠感が強く働きに行けないこと―私の参加していたプログラムでは、毎日6時間働くことになっていた―etc。マリオンは私の説明を聞きながら、棚から本を何冊かとりだし真剣な表情で何か調べていた。

  いくつか体に関する質問をしたあと、、マリオンは「他に何か思い当たることはない?」と聞いてきた。その頃私は不愉快な人間関係を別口でみっつ、よっつ抱えていた。それに加えてフィンドホーンのエネルギーに触発されて、心の古傷が封印を解かれたかのようにフラッシュバックしてきていて、その重荷に青息吐息の日々だった。そんな話をしたと思う。マリオンは黙って聞いていたが、やがて1枚の紙を取り出し、その上でペンジュラム(振り子)を回しだした。ペンジュラムやダウンジングで地下の水脈が発見できるように、体の中の「気」の流れも探れるらしい。フィンドホーンでは診察だけでなく、植物を植える場所を決めるにもペンジュラムを使うと聞いた。何かを決めなくてはならない時にペンジュラムに頼る人もいた。ペンジュラムを使うと、自然や宇宙の「気」の流れのようなものからの情報を得られるのかもしれない。紙には円をいくつかに分割した図のようなものがある。しばらくペンジュラムと語り合うように図を見つめていたマリオンは顔を上げると“あなたの不調の原因は怒りと憤慨と怖れね”と言った。

  それらの言葉を聞いた時、ハッと目覚めるような思いがした。私は自分の抱えている「怒り」や「憤慨」や「怖れ」がそれほど強いものだと思っていなかった。さっき古傷と書いたけれどあまりに長いこと慣れ親しんできたものだったので一種の不感症になっていたのだ。なまじっか、耐性のあるばっかりに、なんか調子わるいのよねーといいつつ自分が常飲しているものが、ヤバイもんだと気がつかないおマヌケさんだ。そんな私に、マリオンは、あんたそれ毒やで、と教えてくれたのだ。

  マリオンは私を立たせ、私のからだの前と後ろで下から上へとペンジュラムを振った。チャクラを調べているのだ。私もフィンドホーンに来てからチャクラのことを勉強し始めていたのでわかった。前号では横着して説明を省いたがチャクラは人間の体にある7つのエネルギー・スポットだ。人間は目で見ることができる肉体だけの存在ではなく、様々なエネルギーの物質的な現れに過ぎない、という考え方が前提にある。「様々なエネルギー」というのは、宇宙とか神や自然とか、魂とか何の為に生まれてきて何の為に生きているとか、そういうことに関係しているらしい。7カ所のチャクラのそれぞれが、心(感情)、体、霊性の重要な働きを持っている。
  “第3チャクラのバランスが悪いわ。モンキーフラワー(みぞほうずき)のエッセンスを飲むといいわね”
  そう言ってマリオンは、モンキー・フラワーエッセンスと、ホメオパシーの薬の入った小びんをくれた。

  以上で診察終わり。時間にして小1時間。料金は全てを入れて£30弱(約5000円くらいカナ。高いようだけど、日本では似たようなセッションで倍以上のお値段らしい)。帰り際、マリオンは“チャクラの瞑想をするといいわよ”とアドバイスしてくれた。

  帰ってから早速ベッドに横になり、フラワーエッセンスを飲んだ。深呼吸をして、エッセンスの効果を受けとれるよう自分を開くイメージワークをしてから舌下に7滴。ふわーーーと温かい波のような感覚がからだの中心から拡がる。そのまま、その感覚を味わっているとみぞおちの辺りに、おだやかな光のようなものが感じられた。何となく先行きが明るいような気分になってくる。根拠は分からなくても、感覚が“大丈夫、あんたはよくなるよ”と告げていた。その感覚こそが大丈夫の根拠かもしれない。(つづく)



[HOME] [らくてん通信 INDEX]