| 食生活というのは自分が思っている以上に保守的なものなんですね。今から22年前、大学生になって一番びっくりしたことは、世間の人は西洋人参を炊きもの(煮物)に使っているということでした。わたしは、生まれてこのかた京都府以外に住んだことがなく、大学も京都だったのですが、地元進学率の非常に低い大学で(わたしの学年で1%)、ほとんどが他府県からの学生でした。 あるとき友人とご飯を食べていて「こないだ、西洋人参の炊きもの見たんやけど、なんや気持ち悪いよね〜」と話すと友人は「?」。そんなのは当たり前やというのです。「え?和食には金時人参しか使わへんのやないのぉ?」ときくと、金時(京)人参なんてお正月前にお節料理のためにくらいしか売ってないと友人。普段のおぞよ(おかず)をつくるとき、料理によって金時人参と西洋人参を緑のキャベツと紫キャベツのごとく使い分けたりはしない・・・。 これはもぉ、一種のカルチャーショックでした。夏の一時期を除いて八百屋さんには赤と橙色の人参が並んで売られているのが普通でしたし、小学校の給食でさえきっちり使い分けられていました。季節がすすむにつれだんだん「京都(府)でしか食べないものや食べ方がある」ということがわたしにもわかってきたのですが、実のところは今でも何や馴染めないところがあるのは事実です。 仲秋から初冬にかけておいしなるのは、「九条ねぎ」「丹波栗」「丹波黒豆」「新大豆」「菊菜(春菊)」「壬生菜」「水菜」「えび芋」「堀川ごぼう」「くわい」そして「金時人参」。それにいろんなまびきの葉野菜・・・すぐき菜とか白菜菜とか・・・。 これら「まびき菜」や「水菜」・「壬生菜」は、ただもうお吸い物程度の味つけで濃いめのお出汁(二番出汁)で炊きます。一緒に炊くのはおあげやひろうすでも、てんぷら(京都では、練り物を揚げたものを「てんぷら」といいます。いわゆる「天丼」とかにする「てんぷら」とは違います)でも・・・。昔は、ころ(鯨の皮脂)などを使(つこ)たようですね。今は高値の花になってしまいましたけれど・・・。 〈雪鍋〉(ゆきなべ) 大量の大根おろしを使て鍋をします。そのお蔭でからだもあったまるし、お豆腐が硬くなりません。入れるものは大根おろし以外に決まりはないのですが、やはり白いものを入れる方が雪鍋らしように思います。大根をおろすのがちょっとタイヘンですが、それだけのことはあります。 「散り蓮華を使って、小皿に豆腐と大根おろしをすくい取って食べるのだが、これが、雪鍋というものだそうである。豆腐の白、大根おろしの白、そして立ちのぼる湯気の白と、まさに白一色、雪鍋の名にふさわしい料理ではないか。」(神吉拓郎著『たべもの芳名録』新潮社刊) 大根を蕪に替えると「みぞれ鍋」になります。お好き好きですが、こっちの方があもうてやらかいお味かな。 [材料] 大根(目安 4人で2カップ以上。1本まるまるも可)、豆腐、たら(白身魚、鶏肉とか豚バラ薄切りもOK)、水菜、きのこ、昆布、お酒、薬味(何でも!おろし生姜・刻みネギ・七味唐辛子・ゆず等)、たれ(ポン酢とか胡麻だれ等、お好みで) [作り方] @大根はすりおろし、出た水気も捨てんと全部使います。 A鍋に昆布、お酒と水を入れ静かに煮立て(ふっとう前に昆布はあげる)、たらを入れて煮る。 Bアク取りし、大根を汁ごと加え、お豆腐・野菜を入れて一煮立ちすれば出来上がり。大根を入れたら沸騰させないことがポイント。各自で皿にとり、好みのたれ、薬味をかけていただく。 ♪〆は、雑炊というよりも、おうどんかお蕎麦で・・・。 ♪お出汁におしょうゆとみりんで味をつけたものに大根おろしを入れて鍋にし、たれを使わずに薬味だけでいただくのもなかなかよろしおす。 |
| もうすぐ歳末。子どものころの元旦といえば、お重にきっちり詰められたおせち料理に白味噌のおぞに(雑煮)・・・なんて思い出はわたしにはあらしません。まだ夜も明けぬ五時、無理から起こされて新年の挨拶とお雑煮もそこそこにお客さまを迎える準備をします。 わたしの実家は丹後ちりめんの織り元で、元日一日で4,500人の方が年始に来はるのが通例でした。日本酒150升・四斗入るこも樽が二つ、お煮〆は一抱えもあるようなお鉢に山盛り、口取りや焼き物などは三尺の大皿数枚に盛ります。お茶用には主菓子が150個。その舞台裏はほんまに戦争で、お正月が嬉しいとか待ち遠しいとかゆう友だちを不思議に思っていました。 いわゆる〈白味噌のお雑煮〉をきちんと作ったのは結婚してから。お出汁はお精進で鰹節は使いません。 [作り方] @頭(かしら)芋はゆでて皮をむく。祝い大根*、金時にんじんは薄切りの輪切りにしてさっとゆでておく。 A椀の中にゆでた丸餅と@を盛り付け、温めた昆布だしに白味噌を溶いたものを注ぐ。あれば糸かつおをふる。白味噌の量はお好みですが、とろっと、かなり甘めです。 *太さ約3cm、長さ約30cmのこぶりの雑煮大根 かしらになるようにとの祈りを込めて、家の主人と長男だけが食べますが、とても大きくて一つ全部食べよと思うたらかなりしんどいです。また、このおぞにを盛るお椀は、男性用は朱赤、女性用は外は黒、中は朱赤のものを使います(うちは普段もそうです)。 新年を迎えておいしなるのは、「聖護院(しょうごいん)大根」「聖護院かぶ」「京ぜり」「金時にんじん」「くわい」「えびいも」「丹波やまのいも」「堀川ごぼう」「壬生(みぶ)菜」「みず菜」「すぐき菜」「九条(くじょう)ねぎ」・・・。 その中でも由来のユニークなものの一つが「堀川ごんぼ(ごぼう)」。豊臣秀吉の聚楽第(じゅらくだい)が取り壊されて残った川やお堀がゴミ捨て場となって、捨てられたゴボウが巨大に成長したのが堀川ごんぼの始まりやとか。そやから「聚楽ごぼう」とも呼ばれています。また、その形状から男性のシンボルともされ、子孫繁栄を願うて正月料理にも用いられます。 直径10センチ、長さ1メートルほどにもなり、普通のごんぼと同じように調理するほかに、中が空洞になっているので、そこにアナゴや鰻、鶏のそぼろ、魚介のすり身等をいこんで煮込んだりもします。 三が日が過ぎると小寒・大寒。15日は小正月。しめ縄や根引きの松など正月飾りをとり「あずのおかいさん(小豆かゆ)」をいただきます(小豆を多めに煮て、おかゆ用の小豆を取り分けた残りはおぜんざいに・・・というのもおすすめです)。 寒中は、何と言うても、〈かぶら蒸し〉。厳冬の一日、かぶの白さを雪に見立てた一品です。お椀の中身は淡白なものならなんでも。熱々に蒸して、上からとろみのきいた銀あんをかけてわさびをのせて・・・あーーぁ、幸せ。 [材料] 聖護院かぶ(1個で5,6人前くらい)・卵白(かぶら1つに対して卵1個分位)・白身魚(ぐじ・鯛・焼きあなご・鰻・えび・かしわ等、手に入るもので)・ゆりね・ぎんなん・お出汁・くず・わさび [作り方] @魚は塩をふってしばらくおき、さっと熱湯に通す(あなごや鰻なら軽くあぶっておく)。ぎんなんは塩ゆでして殻と薄皮をむく。ゆりねはばらしてかためにゆでておく。 Aかぶは洗って分厚く皮をむき(ここが大切)、おろして巻きすで軽く水気をしぼる。軽くあわ立てた卵白をまぜ、ほんの軽く塩味をつける。 B魚類とゆりねを入れ、上からAをかけてぎんなんを散らし、中〜強火で数分蒸す(かぶらが真っ白になるまで)。 C蒸している間に銀あんを作る。お出汁に薄口醤油とお塩、みりんで味をつける(吸い物より濃い目)。くずも濃い目にひく。 D蒸しあがったらあんをかけ、わさびを天盛りにしていただく。 ♪きくらげの細切りをかぶに混ぜるとよい食感に。生麩や三つ葉もあると嬉しい。 ♪蒸しすぎるとかぶにすが入りますので、要注意。 ♪魚などはいれず、焼いたおあげやおまめのゆでたものでも十分おいしい。 |
| 先日は思わぬ大雪になり、ここ京都でも結構な積雪となりました。・・・とはいえ、もうすぐ雛祭り、いわゆる桃の節句ですね。ただ、この時期、桃は温室栽培のものしか手に入りません。お雛さんを仕舞うにも泡雪が舞(も)うたりするので何とのう気づつないのです。そやし、ひな祭りは旧暦で四月にするのんが普通です。雛は「ひいな」ともいうて、かいらしいて小さいものを意味します。お雛さんの日ぃには、何でも小さめのお料理がならびます。お家によって献立はいろいろのようですが、ばら寿司や細く巻いただし巻き、身しじみの炊いたんに赤貝とわけぎのおてっぱい、蛤のおし(吸物)、お焼きもんとして小さな干し笹鰈なんかが一般的やと思います。加えて、小さい細工物の蒲鉾なんかも・・・。その他、お決まりの雛あられに白酒・・・でも、京都のひな祭りのお菓子というと何というても「ひちぎり」。貝殻の形の平たい餅に、餡玉またはきんとんが載ったもの。二つ並べるとお内裏さんとお雛さんのよう。「ひちぎり」という名の示すとおり、餅の端はひっぱってちぎりとった形になってます。 ところで、三月三日の桃の節句は別名「上巳(じょうし)の節句」ともいわれます。上巳とは旧暦三月の最初の巳の日で、年によってかわります(今年は旧暦3月7日/新暦4月15日)。現在のように3月3日(今年の旧3月3日は、新暦4月11日)に固定されるようになったのは中国・三国時代、魏(AD220-265)時代やとか。中国古代では、上巳の節句には河で禊ぎを行い(「上巳の祓(じょうしのはらえ)」)、宴を張る習慣がありました。また同じ日に「曲水の宴」も行われ、これは奈良〜平安時代に日本の貴族階級に取り入れられるようになったそうです。・・・話がそれますが、この曲水の宴を再現しているのが、伏見鳥羽離宮の城南宮です。4月29日と11月3日、平安貴族の装束をつけた歌人が即興で和歌を詠みます。うちの夫も歌人として参宴しておりますので、ご興味がおありになる方、ぜひどうぞ! 今のような雛人形を飾るようになったのは江戸初期からで、女の赤ちゃんの初節句には母方の祖父母から人形などが贈られます(父親が婿養子で来たはるときには父方の祖父母から贈られます)。ただ、このお雛さんはお家にもらうもので(それゆえ、次女以下の初節句には改めてお雛さんはもらわない)、他家へ嫁ぐときこのお雛さんを持参はしません。ちなみにわたしは長女なので、初節句のとき母の父母からお雛さん一式をいただきましたが、実家に置いたまんまです。うちにはボンしか居りませんので、お雛さんは一体もなく・・・さびしい桃の節句です。 あっ!それと、お内裏さんの飾り方。京都では、男雛(お内裏さん)の位置は向って右です。左がお雛さん(女雛)。「王者南面」の考え方でいうとわかりやすいのですが、京都はすべて御所からみてどうか…というのが基準になっています(「左近の桜、右近の橘」を思い出してください)。よって、右京区は京都の西側。左京区は東側。左方が陽で右方は陰なので、左のほうが格が上です(左大臣の方が右大臣より位が高い)。よって、お内裏さまが左側(向かって右)となるわけです。 〈おてっぱい(ぬた・鉄砲和え)〉 [材料] 赤貝(とり貝や貝柱も可)、わけぎ(ねぎでも可)、からし酢味噌(白味噌+和からし+砂糖+米酢)、米酢(酢洗い用) [作り方] @〈からし酢味噌〉湯で溶いたからしをよく練って冷やす。すり鉢でよく摺り、白味噌と混ぜ合わす。加減をみながら砂糖を入れて摺り、酢を少しずつ入れてかためにのばす。※玉味噌を使うとさらに美味! Aわけぎをきれいに洗って、塩少々を入れた湯でゆがく。水に落としてざるに上げ、水気をしっかり絞って一口サイズに切っておく。 B貝を塩もみして水洗いしてから細く作り、アクを取るため一度米酢をまぶしてからしっかり絞る(酢洗い)。 C@の味噌で和える。上に陳皮(温州みかんの皮を干したもの。生薬でもあります)やゆず皮、芽紫蘇などを飾るときれきれい。 〈玉味噌〉 [材料] 西京(白)味噌 400g、酒 150cc、みりん 70cc、上白糖 60g、卵黄 2個 [作り方] @卵黄以外の材料を鍋に全部入れてよく混ぜる。 A弱火にかけて絶えずかき混ぜる。しゃもじですくって落ちない程度になったら火からおろす。 B粗熱が取れたら卵黄を加えてよく混ぜる。 早春から仲春、葉物は端境期であんまりこれというのはないのですが、おいしなるのは、「花菜(菜花-なばな-):菜の花」「たけのこ」、それに山菜いろいろ(ふきのとう・ゆきのした・甘草・こごみ・わらび・うるい・うど・つくし・のびる・たらの芽等々)。菜花は、古くから伝わる漬物「菜の花漬け」は有名。さっと茹でたり揚げたりして彩りにつこたりする他、和え物やおひたしなどの和食にはもちろんのこと、パスタの具にしたりいためてもおいしいです。春の京都の味を、目と舌でぎょうさん愉しんでくださいね〜! |
| 一般に京都の町衆の食事は質素と言われておりますが、ほんまのところは、(海が遠いので)干物や塩蔵品、大豆など蛋白質や脂肪の高いもんと野菜とを上手に組み合わせた(汁気の多い)煮物や和え物なんかが多いようです。薄味というても、塩分は低うてもおだしのお味はしっかり、一言でいうと「うすあもう(薄甘く)」してあります。取り合わせも調理法もとてもバランスがよいという評価を得ています。洛中の商家では、何日に何を食べるとか行事ごとのおきまりのお料理があります。洛中は職住一致エリアで、専業主婦なんかいたはりませんし、ご飯は女子衆(おなごし)さんが作ってくれたりしますから、「今日は何にしよ」と考えるわずらわしさがなくて、決まりもんがあると便利なんです。*お朔日(ついたち):あず(小豆)のご飯(おこわではありません)、なます(大根とにんじん)、にしんこぶ(にしんと刻みこんぶ)か昆布巻き(こんまき)の煮物…月始め、よい滑り出しとなるように。*8のつく日:あらめと油揚げ…末広がりの「八」にあやかり、よい芽が出るように。*15日:あず(小豆)のご飯、なます、いもぼう・・・月のまん中、すこうしご馳走。*25日(西陣)・・・天神さんの日:短冊に切ったたくさんの野菜のおつゆ・・・道真公にあやかって書や和歌が上手になりますように。昆布と煮干しのおだしやそうです(実は、これについては今回、初めて識りました)。*際(きわ)の日(月末):おから・・・おからは「炊く」とはいいません。洛中では月末に集金にまわります。ちゃんとお金が入るようにおからを「炒る(いる)」わけです。また、おからは「きらず」ともいい、お得意さまとのご縁が切れずに続くことを願って・・・というのは縁起かつぎで、ほんまのところは、月末で財布の中身も心細うなっている折、残りもんを細こうきざんでおからの具にでもしよか・・・という感じやと思います。このように、いわれはいろいろですが、アラメに限っていえば、月3回、決まった日にどの家もアラメのゆで汁を流すことで土管の一斉掃除になる・・・ということもあります。町家暮らしの大敵の一つは「土管の詰まり」ですから・・・。 京都では、毎日の「褻(ケ)」のおかずのことを「おばんざい(番菜)」という・・・らしいのですが、わたしのまわりではあんまり使たはる方はいたはりません。マスコミが作ってことばやないかという話もちらほら・・・。うちらは「おまわり」とか「おぞよ」といいます。江戸は職人さんの町でお弁当を作るために朝にご飯を炊くときいたことがありますが、京都は商売の町であり、職人さんも家で仕事をすることから朝はぶぶ漬で、お昼にご飯を炊くお家が多かったようです。家族だけで暮らしているお家というのは稀で、たいていのお家に住み込みの若い人がいたはりましたし、夜昼なしに仕事をしますから、はしり(流し)にはどんとおぞよが作ってあって、手の空いた人から順次いただくのが常でした。わたしが小さいころ(昭和40年代初め)は、夜のご飯はだいたい週の半分が店屋もので残業のお店のみんなといっしょにいただきました。さすがにそれぞれの箱膳で・・・なんてことはありませんでしたが・・・。どのお家も似たりよったりやと思いますが、家族だけでご飯を食べた記憶は皆無です。家族旅行にも必ず、お店の若い人を連れて行きましたし・・・。家族団欒なんて大正中期以降のサラリーマン家庭での話でしかないようです。家族でいろいろ愉しいときを過ごすことに価値がないとは申しませんが、日々、親が仕事をする姿を見せることの方が子たちにとってはずっと教育なのかもしれません。 〈おから/きらず〉 [材料] おから、具(にんじん・干し椎茸・ごぼう・レンコン・お揚げ・イカ・エビ・貝・きくらげ等、なんでも)、九条ねぎ、砂糖、塩、薄口しょうゆ、おだし、あればおの実や三度豆、絹さや・・・ [作り方:ふつうコース] @干し椎茸をもどしておく。これとにんじん・ごぼう・魚介・きくらげなどを千切りにし、椎茸のもどし汁とおだし、調味料(砂糖・塩・おしょうゆ)であんばいよく煮ておく。 Aおからを油少々でさらさらになるまで炒める。 Bおからの中に@の具材をお汁ごとくわえ、少し煮てなじませる。 C小口切りにしたねぎ(と、あればおの実)をくわえ、さっと火を通す。 Dゆでた三度豆や絹さやをちらすときれいです。 [作り方:ご馳走コース] @おからを目の細かい布巾に包んで水でさっと洗い、固く絞って水切りする(「水ごし」といいます)。 Aゴボウは洗って細かいささがきにして水に放ちアクを抜く。ニンジンは皮をむき、千切りに。レンコンは皮をむいて細かく刻み水に放ってザルに上げ、油揚げは熱湯をかけて油抜きをし、にんじんに程度の細さに切る。きくらげ・干し椎茸はもどして千切りにする。魚介も同様。 ※具材はできるだけ同じ大きさに揃えてきると見た目もきれいで、食感もよいです。 B鍋におだしと椎茸のもどし汁に調味料、ゴボウ・ニンジン・レンコン・油揚げ・きくらげ・干し椎茸を入れて強火にかけて煮る(ここで土ショウガを加えても風味がよい)。煮上がれば、煮汁と具に分けておく。 C鍋に少量の油を熱し、おからを弱火で5−6分間じっくり炒める(木べらを使うと便利)。 Dおからがさらさらしてくれば、Bの煮汁をいれてさらに炒める。汁気がなくなりしっとりしたらBの具をいれ、弱火で数分煮る。 E小口切りのねぎ(と、あればおの実)を加え、更に1−2分火を入れる。 Fゆでた三度豆や絹さやを天盛りに・・・。 ※おからをよく炒って水分をとばしておくと、おだしをよく吸って味が決まります。と同時に大豆の臭み消しになります。 ※おだしは、わざわざひかなくても、煮魚などの汁を再利用するのもよいです。かえって味が深くなります。 ※魚介類でのうて、鶏のひき肉やベーコンを利用するのも目先が変わっておいしいです。子たちにも喜ばれるかも・・・。 ※さらに丁寧につくるときには、ちらし寿司の具を煮るときのように、具を一つ一つ別々に煮てからおからに加えると上等です。 〈卯の花和え〉 [材料] おから 200g、おだし 1/2カップ、お酢 大さじ 1+1/2、砂糖 小さじ2、塩 少々、和えるもの(魚介・野菜・きのこ等) [作り方] @鍋におからから塩までを加え、火にかけて炒り煮する。ぱらばらになったら、火から下ろして冷やす。 A酢〆の魚介ならそのまま細造りに、白身魚の干物なら焼いて適当にほぐす。生の魚介は薄味でさっと煮て汁気を切っておく。きのこや青菜はゆでるか薄味で煮ておく。きゅうりなら軽く塩もみしておく。 B冷えた@で和える。具材は1−2種類にとどめておくほうが上品かと・・・。 |
| 梅雨なかです。京町家は、この京都の蒸し暑〜い気候を凌ぐためにいろいろ工夫されています。もっといえば、夏のお祭りの時期に一番楽に過ごせるようにできています。床を高(たこ)う、風通しよぉして・・・京都の夏といえばやっぱり「祇園会(ぎおんえ)」。これは、日本三大祭りの一つに数えられる八坂神社の祭礼ですが、京都以外のお人には17日の山鉾(注1)巡行=祇園祭のようなイメージが定着しているのではないでしょうか・・・。祇園会は、7月1日「吉符入り」に始まって、31日の「疫神社夏越祭」までの一月間、神事がぎょうさんあります。また、祭のメインは山鉾やのうて神輿です。山鉾は、主役の神輿の前を行く露払いのような存在でしかないのです。祇園会は疫病退散のお祭り。貞観11(869)年、都に疫病が蔓延したとき、「これは祗園牛頭天王の祟りである」として、この悪疫を鎮めるために卜部日良麿が66本の矛(鉾)を神泉苑に立てておこなった「祗園御霊会」が起源とされています。うちの父は、昭和20年代後半、いわゆる「室町」の呉服屋で丁稚をしていた人ですが、そのころの丁稚は祇園祭にとってはなくてはならない働き手で、お飾り場の準備から山鉾の組み立てなど、本業はそっちのけであちこちのお町内の手伝いに行かされたそうです(余談ですが、巡行の日は無罪放免、お店もお休みだったので遊びに行ってしもて巡行そのものはTVでしか観たことがないとか・・・)。その山や鉾ごとに組み立てる際のお決まりごとや縄の縛り方があり、その部品一つ一つが神さまが宿るものなので、細心の注意を払って慎重に丁寧に扱こうたのやそうです。この季節になると小さい頃から、祭りを支える町衆の力がいかにすごいか、室町(繊維業界)はどれほどの経費を拠出しているか、繰り返し聞かされたものです。 現在、うちは京町家専門の不動産屋ですから、この山鉾町エリアでの町家物件を扱うこともあります。山鉾町は京都の中でも商業地として一等地であるばかりか環境もよいので、希望される方は少なくありません。もちろん、物件として出ているものなのでご案内は可能なのですが、やはりその前に「山鉾町」であることをきちんとおわかりいただいてからお家の内部を見ていただきたいと思うのです。山鉾町の京町家に住むとなれば、マンション住人とは違います。お町内の仕事にしても祭り(保存会)の役割にしてもそれなりにきちんと果たしていただかねばなりません。経済的な問題もそうですが、労働力も衣装も必要です。7月の一月間は仕事になりません(年間を通じても、180日くらいはお町内の寄り合いがあるそうです)。また、お祭りの期間中、子どもは浴衣ですみますが、大人はそういうわけにも参りません。季節柄、着たきりすずめというわけにもいかず・・・。それに、7月の一月間は胡瓜(注2)も食べられませんし(祗園社のシンボル(注3)が胡瓜の断面に似ているからだとか)、山鉾にかかわっている人は、夫婦の睦事も厳禁。もちろん、お稚児さんの世話(ご飯を作るどころか、からだに触れてもいけない)はお母さん(女性)がされることはないそうです。そのお家の規模(間口)にあわせて、それなりにお町内に貢献していただかんと。ま、「現代の間口税」とでも言いましょうか・・・。 (注1)「やまほこ」です。「やまぼこ」ではありません。不悪。 (注2)祇園社の紋「五つ木瓜」。八坂神社のご祭神のお一人素戔嗚尊(スサノヲノミコト)が胡瓜畑で難を逃れたという故事もあるそう。京都人は、祭りの期間中、事故がないようにと胡瓜断ちをします。 (注3)下図参照 この季節、胡瓜があかんなら何を食べよか・・・と申しますと、やっぱり瓜ですよね。素戔嗚尊さまも瓜がお好きだったとか。瓜と鱧の皮の三杯酢ならつるつるといくらでも・・・! 鱧といえば、祇園会は、別名「鱧祭り」ともいわれます。鱧は、梅雨水をたっぷりのんだものが極上といわれています。京都は海に遠く、魚といえば川魚か若狭の一塩ものや干物が一般的でした。生きた魚は、今と違て暑さのために手に入れることができません。しかし、鱧は生命力が強く、京都まで運ぶことが叶ったそうです。ふつうなら骨が多くて食べ難い鱧を京都人は骨切りをして夏のご馳走にしました。煮物椀の牡丹鱧・湯びき鱧(辛子酢味噌か梅肉で・・・)・源平焼き・鱧ずし・柳川風・・・、まさに京都ならではです。さらに皮は酢のものに、焼いた骨で出汁をとり、うき袋(鱧の笛)はお汁に浮かせます。 この時期によく作るおぞよ・・・鱧が「晴れ」の日の献立なら、「褻(ケ)」の代表としては「にしんなす」。これは「山科なす」を使うととろりと煮あがり、こうとなお味に。「山科なす」は卵型中なすで皮は薄く、肉質が柔(やら)かいのに歯切れがよいのです。漬物に最適とされています。往時は京都を代表するなすとして多く栽培されていましたが、今ではかなり少のうなってしもたとのことです。 〈にしんなす〉(4人前くらい) [材料] 身欠きにしん 4本・米のとぎ汁・なす 中8個・濃口(こぉくち)醤油・砂糖・酒・番茶・針生姜 [作り方] @身欠きにしんは前夜から米のとぎ汁に漬けて戻しておく。よぉく洗って掃除をし(エラ・ヒレなどはとる)、一口大に切ってから番茶でやわらかくなるまでゆがく。 A@とひたひたの水、酒(大さじ2)をいれて中火で煮る。15分ほどたったら砂糖(小さじ2)を入れてさらに15分ほど煮る。濃口醤油(大さじ1)を入れてほろほろしてくるまでじっくり煮る。 Bにしんをいったん取り出し、適当な大きさに切ってあく抜きしたなすを入れ、紙蓋をしてやわらこうなるまで弱火で煮る。 C煮あがる前ににしんを戻し、いっとき煮る。 Dお皿に盛って、針生姜を天盛りする。熱あつよりもちべとうなった方がおいしおす。 実は・・・小さいころ、この「にしんなす」がきらいできらいで・・・。大人になっておいしいと思えるようになったものの一つ。そういえば、このごろたいてないなぁ。うちのボン、食べはるのやろかぁ・・・ |
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| ことしの夏は暑かったですね。処暑も過ぎ、そろそろ涼風が・・・。九月の声をきくと気になるのが名月。旧暦8月15日(今年は9月18日)が仲秋の名月なのですが、わたしの周りでは、この日の前後になると、「今年はどこでお月さん観るの〜?」という話題が飛び交います。京都では観月会は各地で催され、中でも有名なのは嵯峨の大覚寺でしょうか。大沢池に浮かぶ龍頭鷁首(りゅうとうげきしゅ)の屋形船から愛でるお月さんはさぞかし・・・。 旧暦8月15日の月を十五夜、旧暦9月13日の月を十三夜というて、秋草や畑の初物、お団子などをお供えします。この、いわゆる「お月見」は、奈良〜平安時代初期に中国から伝わったものやとか。往時は月を鑑賞しながら歌を詠み、お神酒をいただいたのやそうです。「十五夜」にだけで「十三夜」に月を見ないのは「片見月」というて、ようないといわれています。 また、この「十五夜」は里芋の衣被(きぬかつぎ)をお供えすることから別名「芋名月」、「十三夜」は「栗名月」「豆名月」ともいわれます。お月見にかかせない月見団子。絵本やらのせいか、三宝の上に真ん丸いお団子が山積みになっている・・・というイメ−ジがありますが、京都では里芋の形(丸いお団子をすこし伸ばした形・・・そもそも、この時期の芋は丸くない!)にしたお餅を帯状のあんこでくるんだものをお供えします。このお団子は、十五夜は15個、十三夜は13個という話も聞きますが、大方は両日共に12個の月見団子というところが多いようです(ただし、閏年は13個)。 ところで、満月の翌日の月はなんと呼ぶか、ご存知でしょうか? 翌日は十六夜、その次は立待月、そして居待月・寝待月・更待月・・・と続きます。毎夜、月の出は少しずつ遅うなるので、そうやって待つのでしょうね。どれも響きのやさしい、大好きなことばです。 さて、このお月さんがきれいな季節は、ずいきの季節でもあります。「ずいき」とはサトイモの茎(正確には葉柄)の部分のこと。「紅ずいき」と「白ずいき」がありますが、圧倒的に「紅ずいき」の方がぎょうさん出まわります。関西以外の地域では生よりも乾燥したものの方が一般的やそうですが、食品成分表によると、乾燥モノの方が、鉄分、カルシウム、食物繊維も抜群に多いようです。そうはいうても、ずいきの皮をむく快感は生の方が一枚うわてです。 〈ずいきの炊いたん〉 [材料] ずいき1束(2−3株)・おだし・薄口しょうゆ・塩・みりん・酒・おろししょうが [作り方] (1)ずいきを横半分位に切って1本ずつほぐします。手で、ふきのごとく皮を剥き、3−4センチ長さに切り水につけておきます。かなりアクが強いので、皮膚が敏感な方はご注意ください。 (2)お湯をわかして@をさっとゆで、水に放ちます。お湯にお酢を加えてゆででも可。 (3)昆布とかつおぶしでとったおだしを煮立て、薄口しょうゆ、塩、みりんとお酒で味をつけ(吸い地程度)、しっかりと水気をしぼったずいきを入れさっと煮ます。煮立ったら火を消して、そのまま味をふくませます。 (4)食べる直前におろししょうが(かなりたっぷり)をのせ、混ぜながらいただきます。 ♪煮上がりにくずを引いて、とろみをつけてもよいです。さらに糸かつおをのせても。 ♪冷蔵庫でちべたーく冷やすとなおおいしいです。 ♪時間がたつにつれ、繊維の中にだしがしみておいしうなるので、少し早うに作っておくとよいですね。 〈ずいきのごま酢あえ〉 [材料] ずいき1束(2−3株)・お酢・白ごま・砂糖・塩・薄口しょうゆ [作り方] (1)上記の〈ずいきの炊いたん〉と同様に下処理をして、ゆでておきます。 (2)白ごまを炒り、よくする。その中へ砂糖・お塩・お酢・薄口しょうゆをあわせて、ごま酢を作ります。おろししょうがを少し入れても可。 (3)ずいきがまだぬくいうちにかたく水気をしぼり、Aで和える。冷えてからどうぞ。 ♪ごま酢に赤レンズ豆をさっとゆでたものを加えると食感がたのしいです。 ♪お酢に入れると、ぱっと色がきれいに変わります。子どもに見せてあげると、とても喜びますよ〜。 |
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