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2013/08   28  フェアトレードと、小さな仕事――Think globally, act locally.

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 はじめて自前の商売をしたのは、大学2生の時。新入生向けの講義情報を作って、大学正門前の喫茶店前のスペースを借りて平積みしたところ、めでたく完売。講義を取材した仲間と利益を分配した。自分が1年生の時「こんなのがあればいいな」と思ったものを作ったらヒットし、喜ばれたのだった。

 その次に自分のアイデアで商売をしたのは、最初の子が生まれた時。保険の営業マンが来て、「生命保険に入るのは親の義務」と言われ考えた。わたしは子どもためにお金じゃなく夢や希望を用意しよう。生命保険には入らず、親から任されてた洋服屋に増築して小さな雑貨屋をつくった。

 そこでわたしたち夫婦はフェアトレードの洋服と食品を売り始めた。発展途上国の人々の自立を支援するビジネス。公平(フェア)な貿易(トレード)。生まれてきた子どもが住む世界には、貧富の格差や搾取などあってほしくなかった。ビジネスがフェアである社会、それを子どものために用意しよう。若かった親は、子どものために世界を変えようと思った。

 そして16年が経過した。わたしたちは広い洋服店を畳み、小さな町家に暮らしながら、豆とスパイスの専門店を営んでいる。年収は洋服屋時代の半分。

 その間、実現できたのは、ほんとに限られたこと。幸福なルーティンをつくりだすこと、そこで子どもを育てること。朝お弁当を作って子どもたちを送り出す。月曜の朝は近所の作業所に内職をお願いする。自給800円になるように計算してスパイスの袋詰めをお願いする。当たり前の工賃と思うけれど、思いがけず「フェアトレードをしてもらってる」と言われた。作業所の時給は190円なんだそう。安い工賃で内職をお願いする会社がほとんどだから。

 麦を農家から仕入れてる。一般に流通している粉にした麦はとても安いから粒のままの麦を仕入れ、お豆と一緒にスープにする豆料理キットを売り出してる。とても好評。農家には「高い値段で買ってもらってる」と言われる。けれどこれ以上はとても安くできない。日本の農家の時給は平均でも265円だそうだ。ていねいに仕事している農家は、もっと安いだろう。

 わたしには世界は変えられなかったけれど、自分の暮らしはゆたかになった。お金では買えない確かなつながり。2年前から「小さな仕事塾」をはじめて、起業しようという人たちを応援している。